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投資実践 · 9分で読める

下がるのが怖くて売った3銘柄、15年後の株価で計算したら3000万円逃していた

下がるのが怖くて売った3銘柄、15年後の株価で計算したら3000万円逃していた

売却時の合計▲220万円、持ち続けていたら+3000万円

15年前、3銘柄を売りました。ソニー、コーエーテクモ、IIJ。

売った時の損益はこうです。

  • ソニー: ▲30万円(損切り)
  • コーエーテクモ: +10万円(利確)
  • IIJ: ▲200万円(損切り)

合計で約▲220万円の実損です。当時の自分にとっては、それだけでも痛い金額でした。

しかし、もし15年間持ち続けていたら、それぞれが+1000万円くらいになっていたと思います。3銘柄合わせて+3000万円。

実損220万円と、機会損失3000万円。差分3220万円。これが「個別株時代の最大の後悔」です。

万年筆でノートに書き込みながら過去の判断を振り返る

200万円損切りの当日の話や、ゲーム株で10万稼いで売った話は別の記事で書きました。今日は3銘柄を並べて、当時の自分の判断パターンを冷静に振り返ります。

3銘柄の株価を15年前と並べてみる

数字を出します。Yahoo!ファイナンスや日経電子版で確認できる、2026年5月22日時点の終値ベースです(株価データは記事末尾の出典参照)。

ソニーグループ(6758)

  • 2011年頃の売値: 約2,000円
  • 2026年5月の株価: 3,525円
  • 株式分割: 2024/10に1→5分割
  • 持ち続けていたら1株が17,625円相当 → 約8.8倍

コーエーテクモHD(3635)

  • 2011年頃の売値: 約550円
  • 2026年5月の株価: 1,531円
  • 株式分割: 2015〜2022年の累積で3.744倍
  • 持ち続けていたら1株が5,732円相当 → 約10.4倍

IIJ(3774)

  • 2011年頃の売値: 約320,000円(分割前単元)
  • 2026年5月の株価: 3,071円
  • 株式分割: 2012〜2022年の累積で800倍
  • 持ち続けていたら1株が2,456,800円相当 → 約7.7倍

「1株売って今でも持っていたら何倍になっていたか」の概算です。

15年で8〜10倍。年率に直すと15〜18%くらい。S&P500の長期平均リターンと比べても十分すぎる数字です。

それぞれの銘柄に少しずつ資金を入れていた当時の自分が、もしそのまま売らずに持っていたら。3000万円という数字は、けっして大げさではないと思っています。

ソニー・コーエーテクモ・IIJ、なぜ売ったか

買った理由は3銘柄とも、自分の生活実感に近いものでした。

ソニーはそもそも好きでした。プレイステーションは新型が出るたびに買っていて、テレビもブラビアです。「好きな会社だから応援したい」くらいの軽い動機で買いました。保有期間は3ヶ月。決算で株価が一気に下がったタイミングで売って、▲30万円。

コーエーテクモは、信長の野望と三国志をプレイしていた頃からのファンです。株主優待も良かったので、こちらは1年くらい持ちました。+10万円のプラスが出たところで「これは確定しておこう」と思って利確。3銘柄の中で唯一の勝ち銘柄でした。

IIJが一番の傷口です。当時、関連会社が格安SIMの「IIJmio」をやっていて、これから一気に伸びるイメージを持っていました。保有期間はわずか3ヶ月。▲200万円で損切り。損切り当日の話は別記事に書いたので、ここでは深追いしません。

3銘柄を並べてみて気づくのは、保有期間がほとんど3ヶ月〜1年だということです。一番長く持てたコーエーテクモでも1年。これだけ短いと、企業価値の成長を待つ時間はそもそもなかったわけです。

小石の上に置かれた砂時計、流れていく15年という時間

共通していたのは「下がる想定がなかった」こと

3銘柄の売却理由を並べると、自分の判断パターンが浮かんできます。

  • IIJ: 一気に下がって怖くなった → 反射で損切り
  • ソニー: 決算で下がった → 反射で損切り
  • コーエーテクモ: プラスのうちに確定したい → 反射で利確

全部、反射です。じっくり考えた判断は1つもない。

買う時の自分には「下がることもある」という想定が、本当に欠けていました。買った瞬間から上がる前提でしか株を見ていない。だから少しでも下がると、自分の前提が壊れて、パニックになって売る。

そして勝った時も、「もっと上がるかもしれない」より「下がる前に確定しよう」が勝つ。買う時に「もっと上がる」を期待していたはずなのに、含み益が乗ると急に保守的になる。

要は、自分が選んだ銘柄に惚れ込んでいなかっただけ。「この会社は10年後にこうなる」という絵が描けていない。だから少しの値動きで判断が揺れる。

「資産を育てる」視点が無かった

もう一つ大きかったのは、「資産を育てる」という発想自体が無かったことです。

当時の自分にとって株は、「現金を増やすゲーム」でした。買って、上がったら売る。下がったら逃げる。手元の現金を少し増やすか、減らすかの遊びです。

10年後にこの株がどうなるか。複利で増えていったらどうなるか。配当を再投資したら、20年後にいくらになるか。そういう「育てる」視点は1ミリも無かった。

積立投資の最初の3年は本当に増えないという記事でも書きましたが、資産形成は地味で退屈な時間軸です。3ヶ月単位で見ている人には、そもそも見えない世界でした。

短期の現金欲しさ、損したくない気持ち。当時の自分の判断軸は、ほぼこの2つだけだったと思います。

今になって思うのは、これは「資産形成」じゃなくて「現金トレード」だったということです。資産形成のつもりで個別株を売買している人は、一度自分に問い直してほしい。「これは育てているか、それともゲームしているか」と。

10年持ち続けられるかを自分に問えるようになった

転換点は、NISAとインデックス投信に出会ったことでした。

改めて株を真面目にやろうと思った時、ちょうど制度として整っていて、信託報酬の安い投資信託も出始めていました。中身を勉強していくうちに、「保持し続ける」「資産を育てる」という発想が、ようやく自分の中に入ってきた感じです。

ただ、それでも本能はすぐには変わりませんでした。途中で売りたくなった瞬間の話は別記事に書きました。耐えられた理由はシンプルで、過去の3銘柄が脳裏をよぎったからです。あれをまた繰り返すのか、と。

今の自分が買う前に必ず自分に問う質問は、これです。

「これ、10年持ち続けられるか?」

10年持つ自信が無いなら、買わない。インデックス投信はこの問いに迷わず「持てる」と答えられるから、買い続けています。

朝日が昇る麦畑の地平線、10年先を見据える視点

結局、判断に依存しないのが一番続いた

正直に言うと、自分がインデックス投資を続けられている一番の理由は、判断を放棄できることだと思っています。

個別株は、買う時も売る時も、保有している間も、ずっと自分の判断が試されます。決算が出た、競合が新製品を発表した、為替が動いた。そのたびに「どう判断するか」を考えなくちゃいけない。

インデックス積立は違います。毎月決まった日に決まった金額が引き落とされて、自動で買われる。下がっても上がっても、自分が判断する余地が無い。

これが楽でした。すごく楽。

もし暴落しても、自分が選んだわけじゃないから、ある意味へこまない。市場のせい、世界情勢のせいにできる。責任が自分に来ないから、続けられる。

これって、本当はカッコ悪い理由です。「鉄の意志で売らない」みたいな話の方が記事的には映える。でも自分には、判断を仕組みに預けた方が向いていました。

3000万円の機会損失。数字としては大きい。ただ、結果論で語ってもあまり意味は無い気がするんですよね、こうして話していて何ですが。

確かなのは、もう一度個別株時代の自分には戻りたくない、ということです。あの頃の自分はチャートを見るたびに胃のあたりがキュッとしていて、勝った時も負けた時も、結局休まらなかった。

今は、月1回くらいしか口座を真剣に見ません。それで増えているなら、それでいいかなと思っています。


「インデックスを8年続けられている本当の理由は、市場のせいにできるから」という、ブログには書きづらいカッコ悪い本音は、Noteのほうに書きました。

短期売買から積立投資への移行を考えている方は、積立投資の最初の3年は本当に増えない話も参考にしてみてください。退屈な時間軸を耐えられるかどうかが、結局すべての分かれ目だと思います。

※本記事は個人の体験談であり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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