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投資実践 · 8分で読める

生活防衛資金は何ヶ月分が正解か。現金比率90%→15%で辿り着いた答え

生活防衛資金は何ヶ月分が正解か。現金比率90%→15%で辿り着いた答え

気づいたら、生活防衛資金(現金比率)が15%になっていた

先月、証券口座と銀行口座の残高を並べて、うちの生活防衛資金=現金比率がどこまで下がったか計算してみました。

現金比率、15%。

数字を見て、一瞬心臓がヒヤッとしました。「え、そんなに減ってたっけ」と声が出ました。減らしている自覚はあったのに、ここまでとは思っていなかったからです。

8年前、投資を始めたばかりの頃の現金比率は90%でした。そこから15%まで。数字だけ並べると派手な変化に見えますが、実際にやっていたことは、たぶん誰でも思いつくくらい地味です。

8年前、現金90%・資産2000万からのスタート

2018年頃、僕の金融資産はだいたい2000万円くらいでした。そのうち現金が90%。1800万円が銀行口座で眠っていて、投資に回していたのは200万円程度です。

当時決めていた目標はシンプルでした。現金比率を40%まで下げること。

これでも当時の自分としては、だいぶ思い切ったつもりでした。周りにはまだ「投資は怖い」という空気が普通にあった時期です。40%という数字、たしかどこかの本で見たか自分でざっくり計算したか、正直、記憶があいまいです。根拠と呼べるほどのものではなかった気がします。「このくらいなら死なないだろう」くらいの温度感でした。

そこから数年は、実際のところかなり地味なペースでした。ボーナスが出たら少し投資に回す。給料が上がったら積立額を1万円だけ増やす。その繰り返しです。40%という目標には、じわじわとしか近づきませんでした。

きれいに積まれた紙幣の束

新NISAで一気にペースを上げた

流れが変わったのは、新NISAが始まったタイミングです。

非課税枠が大きく広がったので、それまで特定口座に置いていた資金と、銀行に寝かせていた現金を、まとめて投資に回しました。理屈は単純です。非課税で運用できる枠があるのに、現金で置いておく理由がひとつ減った。それだけです。

このとき動かした金額は、白状すると少し怖かったです。それまで8年かけてゆっくり慣らしてきたペースを、数ヶ月で一気に縮めた感覚だったので。それでも手が止まらなかったのは、40%という目標が、いつのまにか「守るべき数字」から「早く通り過ぎたい数字」に変わっていたからだと思います。

守っていたのは「比率」じゃなく「500万円」だった

で、冒頭の15%です。

本音を言うと、「よし、比率を下げよう」と意図して動かした結果ではありません。総資産が2000万から6000万前後まで増えたことで、現金の金額そのものはあまり変えていないのに、比率だけが勝手に下がっていった。それが実態に近いです。

ここで、自分でもちょっと意外な発見がありました。

比率で目標を立てていたはずなのに、実際に自分が手放さずに守っていたのは、比率じゃなくて金額でした。500万円台。ここだけは、資産がどれだけ増えても減らしていません。

6000万円×15%で計算すると、現金はだいたい900万円ある計算になります。「最低500万は残す」という自分の中のラインは、余裕でクリアしている状態です。目標だった40%はとうに通り過ぎて、気づいたら守っているのは比率じゃなく金額に変わっていました。

これ、書きながら気づいたんですが、たぶん多くの人がやっているのは逆です。先に比率を決めて、金額はあとからついてくる。うちの場合は完全に逆でした。金額を先に固定して、比率のほうが資産の増減に合わせて勝手に動いていく。どちらが正しいという話ではなく、単に自分にはこっちのほうが計算しやすかった、というだけの話です。

なぜ500万、なぜ12ヶ月なのか

500万という数字の根拠は、月の生活費です。うちは月40万円前後で回っているので、40万円×12ヶ月で480万円。これに少し余裕を足して500万円、という計算です。

FP2級の教科書には、生活防衛資金の目安は生活費の3〜6ヶ月分、と書いてあります。だとすると、うちの場合は120万〜240万円あれば足りる計算になります。

500万円は、その倍以上です。

じゃあなぜ12ヶ月にしたのか。率直に言うと、理屈はあとづけです。3ヶ月はさすがに少ないと感じました。6ヶ月でもいいとは思います。思いますが、気持ち的に1年は欲しかった。それだけです。

メンタルの安心感を、生活防衛資金の年数で買っている。そう言われると、たしかにそうかもしれません。

FP2級の勉強をしていたとき、教科書には「生活費の3〜6ヶ月分」とだけ、あっさり書いてありました。試験的にはそれで正解なんだと思います。でも、自分の口座に当てはめて考えると、なぜか納得できませんでした。理屈と気持ちが一致しないなら、気持ちのほうを取る。このときはそう決めました。合理性で言えば200万円くらい過剰に置いている計算になりますが、その200万円は「夜ぐっすり眠るための保険料」だと思うことにしています。

ノートPCの隣に置かれた電卓

現金比率が下がることに、なぜ恐怖がないのか

ここまで読むと、「そんなに現金を減らして怖くないの」と思われるかもしれません。

正直、怖くありません。増やせるだけ投資に回そう、というスタンスで、ここ数年は一貫しています。

理由は単純です。最悪、投資信託を切り崩せばいいと思っているからです。

でも、ここで自分でも面白いと思ったことがあります。僕は2018年から一度も投資信託を売ったことがありません。8年間、ゼロです。それなのに、いざとなれば売れる、と本気で思えている。この自信、どこから来てるんだろうと考えてみました。

答えは、たぶんこうです。一括で全部売るのはめちゃくちゃ勇気が要ります。でも、必要な分だけ少しずつ取り崩すのは、心理的なハードルがぜんぜん違う。少しずつなら、たとえ含み損のタイミングで売っても、失う金額自体は小さい。だから怖くない。

一括売却への恐怖と、部分的な取り崩しへの気軽さは、別物でした。同じ「売る」という行為なのに、これだけ心の負担が変わるとは、自分でも意外でした。

FIREしたら、この基準は変えるつもりです

ただし、この「500万・12ヶ月」がずっと正解だとは思っていません。

今の500万は、収入がある前提の数字です。会社からの給料が止まらない限り、投資信託を切り崩す必要は基本的に発生しません。

もしFIREして無収入になったら、話は変わります。そのときは12ヶ月分ではなく24ヶ月分、1000万円くらいは現金で持っておきたいと思っています。相場がどう動くか読めない以上、下落が長引くケースを想定しておきたいからです。1年で戻る相場もあれば、2年以上冷え込む相場もある。無収入の状態でその両方に耐えるには、今の水準では心もとない気がしています。

給料という「毎月自動で振り込まれる現金」の存在を、今はたぶん過小評価しています。会社員である限り、生活防衛資金は最悪の場合の保険でしかありません。でも収入が消えた瞬間、同じ500万円の意味はまったく変わります。保険から、命綱になります。1000万円という数字も、今の時点でのざっくりした皮算用で、実際にFIREが近づいてきたら、たぶんもう一段見直すことになると思います。

まだ実際にその場面には直面していません。生活防衛資金があってよかった、と実感する瞬間も、幸い今のところ一度もありません。備えというのは、使われないうちが一番いい備えのはずなので、それ自体は悪いことではないと思っています。

木漏れ日の差す森の小道を歩く人

今の配分に100点をつけた理由

現金比率15%、金額にして900万円前後。この配分に自分で点数をつけるなら、今は100点です。

理由はシンプルで、増やすことにも守ることにも、迷いがないからです。投資に回した分は一切売らず、手元の900万円は生活費12ヶ月分を軽く超えている。どちらの方向にも、後悔する材料が今のところありません。

とはいえ、この100点は今のコンディションに対しての点数です。仕事を失ったり、体調を崩したりすれば、また違う数字になると思います。そのときはたぶん、比率をまた見直すことになるはずです。それでいいと思っています。生活防衛資金は一度決めたら終わりのものではなく、状況が変わるたびに計算し直すもの。8年やってみて、そこは腹落ちしました。

比率を追いかけていたつもりが、いつのまにか金額を守るゲームに変わっていた。8年やってきて、いちばんの発見はそこでした。


この切り替わりを自分がどう感じていたか、会社では言えない本音のほうは、Noteに書きました。

※この記事は個人の体験・記録に基づくものであり、特定の投資手法や銘柄を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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